ユーザーは何を求めているか?何が楽しいか?何に夢中なのか!? ゲーム製作・・・いや商品開発の基本である。
ファミコンは当時大人でも楽しめるものであったが、やはり子どもが夢中になれる最高のおもちゃであった。
その子どもをターゲットにロックオンしたゲーム。
レーサーミニ四駆
当時ファミコンに負けず劣らず愛されていたミニ四駆。それをファミコン世界で実現したのだから子どもにとってはよだれ物である。
さらに、きちんとゲームらしく変化も加え、奥深さも兼ね備えていた。それがたまらなく楽しかった。
本日はそんな子どもにとっての至極の作品。レーサーミニ四駆を紹介していこう。
ゲーム概要
レーサーミニ四駆 ジャパンカップ
発売日:1989年8月25日
価格:5900円
メーカー:コナミ
ジャンル:ボードゲーム
機種:ファミコン
当時の子どもたちに人気を博したミニ四駆を題材としたボードゲーム。ルーレットでマップを移動しお金を貯めてミニ四駆のパーツを買いレースに出場する。
プレイヤーはフランコ、ミナコ、カマコ、ハカセの中から1人を選び進めていき、各マスではプレイヤーの個性に合わせたイベントが待ち構えている。
目指すはキッズ憧れのジャパンカップ。
マシンやパーツを組み合わせて戦うシステムは、楽しくもあり難しくもあり奥深いものであった。
それではここから更にレーサーミニ四駆の魅力を深掘りしていこう。
子どもの夢と夢のコラボ
子ども心をタイムリーについた作品であった。
戦後の大衆の心をつかんだのが、
巨人
大鵬
たまご焼き ならば、
80~90年代の我々の心をつかんだのは、
ゾイド
ファミコン
ミニ四駆 であった。
ファミコンとミニ四駆、夢と夢が一緒になったのである。
学校終わり、今日は野球をしようか、サッカーをしようかプラモをしようか、など貪欲に遊んでいたあの当時、ファミコンとミニ四駆のコラボは最高級のおもちゃであり、夢の塊でもあった。
現実世界では欲しくても手に入らなかった夢のマシンがゲーム内に何台も入っている。そう考えるだけでワクワクを抑えることができなかったのを今でも覚えている。
なんとボードゲーム方式
このゲーム、初めてプレイしたときはびっくりした。ボードゲーム形式でゲームが展開されていくのである。
その当時、ホードゲーム形式のゲームはほとんどなかった。初めてのゲーム体験であり、最初はとまどいを感じる体験であったが、あっという間に魅了されたいった。
ゲームデザインも鮮やかな色合いで、ぐんぐんテンションを上げてくれた。バリエーション豊かなイベントマスに目移りする。
ルーレットの目押しも熱い。それぞれのマスで待っているイベントもキャラによって結末が異なるため、キャラの個性をいかした攻略法が求められるのも楽しかった。
奥が深いセッティング
ミニ四駆のセッティングは実に奥が深かった。少年時代、リアルでミニ四駆を遊んでいたときには聞いたことがないパーツもたくさん出てきた。リアルよりも緻密で深いセッティングを楽しむことができる。と言っても過言ではない。
また、このセッティング、ちょっとずれただけで大幅にタイムが違ってくる。何度もプレイして失敗を繰り返しながらベストなセッティングを見つけていくことになる。さらに、ミニ四駆(マシン)によってはつけられないパーツがあるのも憎かった。
マシン性能含めたバランスが非常に深いため、当たりを見つけた時、タイムを短縮できた時にはアドレナリンが一気に高まっていくのを感じることとなる。
イベントが楽しい
ボードゲーム形式ゆえに、マップに止まるとイベントが発生する。
お金マークだとお金が増え、葉っぱマークだとバイオリズムに関するイベントが発生する。また、空からライバルがふってきたり、ヤンキーにからまれお金を取られたり、ビンボー神に取りつかれたり などおかしなイベントもたくさん待ち受けている。
さらに、先の項でも記した通りキャラによって同じマスでも運命が違う。
「ケンカ」・・・勝利できるキャラもいればコテンパンにされるキャラも
「テスト」・・・100点もいれば低い点も
「カラオケ」・・・大フィーバーもあればブーイングも
「モデル」・・・大金ゲットできるキャラもいれば、何もないキャラも
など。
速いミニ四駆を作成することがメインだが、イベントだけでも十分楽しめてしまう。
戦略も重要
スタート時に大会までの日数を決めることができる。その日数までにマシンを仕上げなければいけない。当然より良いマシン、パーツをゲットするためにはお金が必要。となる。
イベントをこなすことでお金をゲットできるのだが、そのお金の稼ぎ方が肝。
いかにして素早く、効率的にお金を稼ぐか、が特に序盤では大切になり、それがゲーム攻略の最重要ポイントと言っても過言ではない。大会から逆算し、いつまでにお金をためて、パーツをそろえて、と考えながら進めないと理想のセッティングができないのである。
また、バイオリズムがこのゲームにはある。バイオリズムの高さでルーレットのスピードが変わり、それによっていきたいマスへ行きやすくなったり難しくなったりする。
さらにそれ以外で、大会でも大きなポイントになる。
バイオリズムが低いとレース中にコースアウトしやすくなるのだ。バイオリズムはゲーム内イベントで高めることができるが、下がってしまうイベントもある。大会当日に、より高い状態にするための日数計算、イベント運びも重要になる。
さまざまな観点から、大会当日までの日数計算、つまりは戦略が重要となるゲームなのだ。
シビアな大会
大会当日はマシンのセッティングのみ可能である。それ以外は何もできない。リアルと一緒である。
スピードを高めることは比較的容易であるが、高めすぎると簡単にコースアウト、吹っ飛んでしまい、リタイアとなってしまう。しかし、スピードを少し抑え、バランス重視のセッティングにすると今度は一気にタイムが遅くなってしまう。
大会は1度負けてしまうと敗退するトーナメント形式となっており、やりなおしがきかない仕様。
マシンセッティングの成功、失敗は紙一重。つまり1位と最下位も紙一重だったりする。大会は非常にシビアでなのある。
大会は、最終ステージのジャパンカップを除くと4つある。
スピードが求められる大会もあれば、パワーが求められる大会もある。さらには運が全てのような大会もある。その大会に応じたセッティングが求められるのだ。
まとめ
レースは一瞬で終わる。その一瞬の為に常日頃からの行動がものをいう。何か人生の縮図のようなものを見せてくれたゲームでもあった。
マシンによりセッティングも異なり、イベントのみでゲットできる幻のマシンもある。
やり込み要素も多分にあるゲーム。子どもの夢を実現させてくれたゲーム。
しかし、決して甘いものではなく難易度は高め。
レーサーミニ四駆は、ファミコンとミニ四駆の夢のコラボでありながらも、きちんと現実の厳しさを教えてくれたゲームであった。
コメント